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春爛漫で眠くなり、『古川ロッパ昭和日記』を読み始める。

前夜の深酒がたたり、不覚にもたいそう朝寝坊をしてしまい、フィルムセンターの小ホールにて正午上映の『旗本退屈男』は諦めねばならぬのだった。無念である(ああ、見たかった…)。気を取り直して、大ホールに予定変更。今月下旬に見に行く予定だった『煉瓦女工』(昭和15年・南旺映画)を見にゆく。先月に見た『生きている画像』とおんなじように、気が向いてひょいと見に行くのがぴったりな、すぐに忘れてしまいそうだけど見ているときは、いいなあとささやかながらも満ち足りた時間。舞台は鶴見の運河沿いの長屋でロケが多く、自然光ならではの映像がなかなかよかった(本日の撮影監督は中井朝一)。新協劇団の人びとがたくさん出ていて、新劇史の資料という点で秀逸、それだけでも見る価値大いにありだった。出てくる人びとを次々に眺めてはウキウキ。浪曲師の夢声(浪曲シーンは吹き替えであった)は途中で、見るからに薄幸そうな奥さんの水町庸子とハスキー娘の悦ちゃんと夜逃げしてしまった。


映画が終わって外に出てみると、たいそうあたたかく、気持ちまでが春爛漫になってきた。鍛冶橋通りを直進し、PAUL でオムレツを食べて腹ごしらえ。丸善でウォーターマンの万年筆と丸善特製の便箋と封筒を買ったあと、神保町に向かってテクテクと歩き、さあ、本を偵察するといたしましょう! と、ここまでは順調だったのだけど、神保町に到着したとたん猛烈に眠くなってしまい、もうどうにもならない。東京堂だけ見て、家に向かってへなへなと歩いて、ずいぶんくたびれた。やっとのことで帰宅し、トロトロと昼寝(夕寝)。いったん目が覚めたところで、徳川夢声『あかるみ十五年』(世界社、昭和23年)を取り出し、『煉瓦女工』の箇所をフムフムと確認し、本を放り出してまたスヤスヤと寝る。


寝てばかりいると一日があっという間だなあと、夕食後、気を取り直して『古川ロッパ日記 戦前篇』新装版(晶文社、2007年2月)を取り出す。今回の新装版を機に購入してあらためてじっくりと通読しようと前々から張り切っていたのだけど、ぼんやりしているうちに次の巻が出てしまいそう。あわてて「戦前篇」を読み始める。


古川ロッパ昭和日記 戦前篇?昭和9年‐昭和15年


読みはじめは昭和9年、明治キャラメルの「僕は天下の人気者」なる歌を歌うロッパ。内田誠が訪ねてきたり、京橋の明治製菓へおもむきタイアップの相談をしたりと、明治製菓のタイアップものあれこれが気になっている身として、さっそく胸が躍りまくり。急に目が覚めて、あれこれメモする。「僕は天下の人気者」ってどんな歌だろう。それにしても、演劇博物館(http://www.waseda.jp/enpaku/)にて5月より開催の《古川ロッパとレヴュー時代―モダン都市の歌・ダンス・笑い》展が今からとってもたのしみだ。そのときまで全4冊を精読できるといいなと思う。さながら「東京食べある記」という趣きのロッパ日記、明治生命ビルの「マーブル」(参照:http://homepage1.nifty.com/tanboh/okada27.htm)に心ときめく。書物のなかの「マーブル」コレクションが、本読みにおけるわたしのたのしみのひとつなのだった。新たな一冊が見つかって嬉しい。