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村井弦斎、トルストイ、大河内伝次郎

今日もずいぶん早くに起きて、お弁当、朝食をバタバタと済ませて、ソソクサと外出。開店まなしの喫茶店でコーヒーを飲んで、ようやくふうっとひと息。出がけに突発的に持参した、黒岩比佐子著『「食道楽」の人 村井弦斎』(岩波書店、2004年)を読み始める。長らく気になりつつも未読のまま今日まで来てしまったのだったけれど、いざ読み始めてみると、これがもう、たいへんにすばらしいのだった。読み逃さないで本当によかった! 急に背筋がのびて、メラメラと読み進める。「『食道楽』の人について」と題されたはじまりの文章を読んだだけでもいろいろと心に刻むことあり、いつまでもメラメラ、あれこれとノートにメモをしたところで、本篇に入る。


昼、本屋へゆく。岩波文庫コーナーに突進して、最近出たばかりの『酒道楽』におととし出た『食道楽』上下を立て続けに手にとる。黒岩さんの本を読み終えたら、満を持して、またここに買いに来るとしよう。黒岩さんの本を読んだあとで、村井弦斎をこうして読むことができるなんて、なんとすばらしいことだろう! …などと心躍らせる。


日没時、イソイソと外に出る。鍛冶橋通りを直進し、京橋のフィルムセンターへ向かう、その前に通りがかりのコーヒーショップにて、トルストイ/藤沼貴訳『戦争と平和』第二巻(岩波文庫、2006年)の続きを読む。クイクイとページを繰る指が加速度的に早くなって、おっとあせってはいけないと、ペースを落とすのに一苦労。


読む本読む本がこう立て続けに面白いと、なんとも落ち着かないものだなあと妙にハイテンションになってしまって、危険なのだった。もうちょっと気持ちを静かにしないといけない。そうこうしているうちに時間になった。本日よりフィルムセンターでは「シリーズ・日本の撮影監督 (2)」なる特集が始まった。「撮影監督」がテーマだなんて、ハートに直撃! 行きたい目白押し映画で困っちゃうッと、3年前の前回本当に困っていたものだったけど、その3年後の今回も見たい映画目白押しで困っちゃうッと、スケジュール調整に一苦労。うーむ、どうしてくれよう。と言いつつも、いつも予定の半分も見に行けないのだけれども。


さてさて、今日は無事に見に行くことができた。本日は千葉泰樹の『生きている画像』(昭和23年・新東宝、撮影は河崎喜久三)なり。大河内伝次郎なのでとりあえず見ておこうとほんの軽い気持ちで見に来たのだったけど、そんな「ほんの軽い気持ち」で見るのがぴったりな、3日たったら忘れてしまいそうだけど、見ているときはそこそこたのしくてほんわかくつろいでいる感じの、こういう味わいの映画見物もいいな、いいなと、スクリーンに映る、すしやの光景(河村黎吉がいい!)、常連たち(ロッパが「やあ」と入ってきたりとか)、お燗の入れ具合、などのディテールにうっとり。久保田万太郎の『寂しければ』のことをそこはかとなく思い出したりも。


映画が終わって、アサヒペンを見上げたところで地下鉄に乗り込んで、熱燗グビグビの大河内伝次郎を見ていたら、急に雲助さんのことを思い出してしまった。通りがかりの本屋に寄り道、教えていただいた「サライ」の落語特集を立ち読みして、「雲さま!」となったところで、帰宅。