マタイを途中まで聴き、駒井哲郎を買い、アルゲリッチを聴く。

早起きして機嫌よく iPod でマタイを聴きながら歩いて出かけよう、今週から第2部に突入だと張り切っていたのであったが、いざ当日になってみると、寒くていつもより1.5倍ほど動作に時間がかかってしまい、出るのが遅くなる。あきらめて電車で出かけることにする。それでも往生際悪く、iPod ははなさない。第2部の冒頭から聴き始めて、喫茶店にたどりついてふうっとコーヒーを飲んでひとやすみ、ユダの自殺のあとのバスのアリア(この曲大好き)になって思わず2回ほど聴きなおしたところで、スイッチを止める。残りの時間は、昨夜急に読み返したくなって本棚から発掘した戸板康二『見た芝居・読んだ本』(文春文庫)を取り出し、ペラペラといい気分で繰った。急に戸板康二の『見た芝居・読んだ本』を読み返したくなったのは、「黌門客(id:higonosuke)」のすばらしい一文「森鴎外『百物語』とその周辺(id:higonosuke:20061202)」を読んで、いてもたってもいられなくなったから。ちくま文庫の東雅夫編『文豪怪談傑作選 森鴎外集 鼠坂』を買いに行かなくてはいけない。


というわけなので、昼休み、本屋へ突進。目当ての『文豪怪談傑作選』が棚になく、がっくりと肩を落とす。心の隙間を埋めるべく、しばし文庫本コーナーをふらついて急に思い立って、青柳いづみこ『青柳瑞穂の生涯』(平凡社ライブラリー)を読んで読みたくなった本のひとつ、駒井哲郎『白と黒の造形』(講談社文芸文庫、2006年)を買うことにする。


白と黒の造形 (講談社文芸文庫)


コーヒーショップでさっそくペラペラと繰って、嬉しい。元版が小沢書店というのがいかにもな一冊。


夜、部屋でアーノンクール盤のマタイの第1部を聴く。そのへんにおいてあった「考える人」2005年春号を気まぐれに眺めていると、杉本秀太郎がアルゲリッチのモーツァルトの K.503 のライヴ録音について《彼女が静寂というものの音に前後二度、じかに触れていることを証している(第二楽章)。モーツァルト当人を別として、おそらく彼女ひとり、これに触れ、私たちにこれを伝えた。》と書いていて、いてもたってもいられなくなる。ので、マタイを中断して、アルゲリッチのコンセルトヘボウライヴのディスクを再生。アルゲリッチの K.503 は第3楽章もたまらんのであった。