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徳田秋声『仮装人物』を読了し、さくらんぼを食べる。

なんやかやで出る時間が遅くなり、あわてて駅にたどりついてみると、こういう日に限っていつも乗る地下鉄道がとまっている。眉間に皺を寄せながらぶつくさと地上の電車に乗る。ひとたび乗ってみると、窓からの景色がたのしくて、いつのまにか上機嫌になっていた。

昼、徳田秋声『仮装人物』(岩波文庫)読了。川端康成の解説を読んだあと、うーむといろいろ思う。いままで秋声は「明治の文学」として読んでいただけだったのが、こうして『縮図』と『仮装人物』を立て続けに読んでみると、大正を経たあとの昭和の文壇というものにあらためて思いが及んで目が覚めるように面白い。おのずと心はいつものように野口冨士男へと向かう。……などとモヤモヤと興奮しているうちに、そうだ、買い損ねていた講談社文芸文庫の川崎長太郎『もぐら随筆』をと急に思い立って本屋へ駆け込むも、あいにく棚になかった。眉間に皺を寄せながら、今日のところは退散する。

眉間に皺が寄ったまま、夜になる。夕食後、さくらんぼを食べて、やっと上機嫌になる。