神保町に寄って、あれこれ本を見る。

今日も早起きして早々に外出。喫茶店で昨日届いていた「日本古書通信」をゆるりと読む。じっくりと読む。松本八郎さんが小山書店の「新風土記叢書」について書いていたり、八木福次郎さんが柳田泉と木村毅のことを書いていたり、今回も胸躍る記事満載で嬉しい。目録に散財の心配がなくてよかったとほっと胸をなでおろす。


「日本古書通信」で神保町気分がもりあがり、帰り、いい気分で神保町に立ち寄る。まずは東京堂で本を見る。東洋文庫コーナーの前でしばし立ちすくむ。ああ、なんて素敵なのだろう! と、「ああ」という感嘆詞がいつもしつこいよと自分でも思うけど、「ああ」と言わずにはいられないのだった。早く『共古随筆』が欲しいなあと思ったところで、木村毅の『文芸東西南北』も欲しいッともだえる。と、もだえたところで伊原青々園・後藤宙外編『唾玉集 明治諸家インタヴュー集』が目に入る。内田魯庵の『読書放浪』の文字も目に入った。これら手持ちの東洋文庫をもっとしっかり読み返すことが先であろうとメラメラと決意し、東洋文庫コーナーを去る。

古本屋を適当にめぐり、とあるお店で初めて、前々から気になっていた日本専売公社東京地方局煙草部発行の私家版、『随筆タバコを語る』(昭和24年発行)を見た。内田誠とか高橋邦太郎、辰野隆に徳川夢声などなど、魅惑のたばこ随筆集。なかなか素敵な本だったけど2000円で買うほどのものでもないなと棚に戻す。

そんなことをしているうちに、ふと先日とある均一コーナーで見た、日本演劇社発行の『歌舞伎辞典 ア―オの部』200円のことを思い出した。そうだ、あれを買うのが本日の神保町の来訪目的であった。と、来た道を戻り、先日の古本屋へと向かう。が、どのお店だったかはっきり思い出せず、しばし夜道をさまよう。飲みすぎて途中で記憶をなくして翌日蒼白になり、ハテあの夜わたしはどの道をたどったのだろうと三日後くらいに同じ場所に行ってみるも当然思い出せず、というのと似た心境になって、暗い気持ちになる。

徘徊の甲斐あって、先日の古本屋、無事発見。均一棚に『歌舞伎辞典 ア―オの部』はそのまま残っていた。いざ現物を目にすると、こんなものを買ってどうするとまたもや思ってしまうのだけど、これまでの苦労を水の泡にするのもしのびないので、買っておくことにする。