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鶴見線のあとも行きたいところ目白押し

予定よりもずっと早くに所用が終わって嬉しい。日比谷界隈を歩くその途中、ふと思いついてシメシメと線路沿いのドトールでしばし休むことにする。ほんの気散じにペラッと手持ちの文庫本、神吉拓郎の『たたずまいの研究』を繰る。戸板康二の文章でおなじみの、丸の内の明治生命本社ビルの半地下にあったレストラン「マーブル」のことが出てきて、さっそく「おっ」となる。和木清三郎編集長下の「三田文学」の集まりの「紅茶会」の会場でもあり、野口冨士男が『私のなかの東京』で書いているとおりに徳田秋声の「あらくれ会」の会場でもあり、と、書物のなかの「マーブル」コレクションをしてみたいなあとうっとり。と、うっとりしながら、ふと目の前のガラス窓の向こうを見やると、高架の線路が目の前に見えて、なんだかとってもおもしろい。山手線が通過し交叉し、そのあと新幹線が通り抜け…と、電車を眺めているといつまでも飽きない。線路の向こうにかすかに高速道路を走る自動車がみえる。あそこは泰明小学校の屋上なのかなと、文庫本そっちのけでしばし景色に夢中になる。


広津和郎が大好きだったという、ピサロの《菜園》目当てにブリヂストン美術館に行きたいなと思っていたけど、日没後、時間も体力も残りわずかであった。しかし、くじけてはいけない。閉館時間になる前にと、京橋図書館までズンズンと歩く。予約してあった本をわんさと借りて、ご満悦。帰宅後、ミルクティを飲みながら、まずは、書泉の鉄道コーナーにてチェック済みの「東京人」2005年3月号《鉄道を見る!》を眺めはじめると、案外にもなかなかの充実度。初心者にはありがたいつくりになっているのがなによりだった。「行きたいところ目白押しで困っちゃうッ」とはしゃぐ(アホ)。まっさきに行きたいのは、東武伊勢崎線堀切駅の駅舎と鉄橋かな。あ、一球さん(6000系)見物のため、あらかわ遊園にも行かねばならぬのだった。などなど、鶴見線のあとも行きたいところ目白押しだなと胸を躍らせたあと、借りたばかりの原武史著『鉄道ひとつばなし』(講談社現代新書)を繰る。ランランと読む。静かな心持ちで加藤一雄を読むつもりだったのに、鉄道にはしゃいでいるうちに夜がふけてしまった。