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朝は喫茶店、昼は本屋、夜は美術館にゆく。

朝の喫茶店で広津和郎の『続年月のあしおと』を読む。こちらも3年ぶりの再読。ズンズンと読み進め、ふと、牧野武夫著『雲か山か 出版うらばなし』の発掘を忘れていたことを思い出す。すでに発掘済みの広津桃子著『父広津和郎』の次に読もうかと思う。

昼休み、本屋さんへ。白水uブックスの新刊として、吉田秀和さんの『モーツァルトを求めて』が先月に出ていたことにようやく気づく。吉田秀和さんというだけでも嬉しいけど、堀江敏幸さんが解説を寄せているので、さらに嬉しい。早く買いたいなとますます思う。堀江敏幸さんの著書はもう何年も読んでいないけど、堀江敏幸解説の本はなるべくフォローしたいものだと思う。そうそう、前々から目をつけている、同じく白水社刊のゼーバルト・コレクションを早く読みたいものである。…というようなことをぶつくさ思っているうちに時間がどんどん過ぎゆく。本を買うのを控えることで心を落ち着けようとしているというのに、いろいろと計画するだけで結構くたびれるなあと、うなだれたその直後、当の白水社の今月の新刊に『ジェイン・オースティンの読書会』があるのを見て、「あっ」となる。この本の原著を丸善本店で衝動買いしたのはいつだったかな……。さらに、うなだれる。


日没後、お壕端を竹橋に向かって、ズンズンと歩く。「近衛兵」という名の外灯の下をテクテクと歩く。東京国立近代美術館にたどりつき、4階から2階までをゆるりと見物。明治42年の萬鉄五郎の《裸体美人》を見るといつも『木村荘八日記』のことを思い出すなあとしみじみした直後、翌年の木村荘八の自画像が展示してあって、ジーンとなった。今日は柳瀬正夢の《門司港》がしみじみ胸にしみた。本日より開催の渡辺力の展覧会もなかなかよかった。すっかりいい気分になって、帰宅。


ミルクティを入れて、体勢をととのえて、広津和郎の『続年月のあしおと』をズンズンと読む。読了まで寝られず、手が芯から冷たくなった。