都筑道夫、花柳章太郎、久保田万太郎

今朝も喫茶店でカフェオレ。都筑道夫の『三重露出』読了。ああ、面白かった! 都筑道夫はいつだって素敵にかっこいい。いつもながらに東京小説としても秀逸でロードムーヴィー的な味わいもあってオツだった。愉しき哉。手持ちの光文社文庫の都筑道夫コレクションの残りをウキウキと繰っているうちに時間になる。それにしても、愉しき哉、と、いつまでもウキウキ。都筑道夫は本当にたまに読むと清涼剤のようだなアとまたクサクサしたら読んですっきりするとしよう。

昼休み、本屋さんへ出かける。ここ数日気になっていた白水社の「ふらんす」のアンソロジーをようやく発見。専攻は人文系ではなかったけど学生時代、「ふらんす」は長らく愛読していたのでそこはかとなく懐かしくもある。野崎歓の連載で知ってジャン・ルノワールの書簡集を取り寄せたりしたなあといろいろと思い出すのだった。ランランと立ち読みして、とたんに欲しくなるけど、ぐっとこらえる(というかお金がない)。登場する人物はおおむねいかにもな顔ぶれだけど、花柳章太郎の名前が交じっているあたり、いいなと思った。

と、思いがけなく、花柳章太郎に遭遇した直後、来春年明けの新派公演で、久保田万太郎の戯曲『ふりだした雪』が上演されることを知った。

帰りは京橋図書館へ本を返しにゆき、銀座で少し買い物したあと、帰宅。石神井書林の目録が届いていて、「うわっ」となる。注文していたサトウ・ハチロー著『明快ステップ』も一緒に届いていた。サトウ・ハチローは版元が冬至書林(戸板康二『俳優論』の版元)でなおかつ安かったので注文していたもの。サトウ・ハチローの冬至書林本はあともう1冊手元にあるけどタイトル失念。冬至書林調査はいつまでも続くのだ。

夜ふけ、『久保田万太郎全集』(http://www.on.rim.or.jp/~kaf/carnets/books/kubota.html)第6巻(戯曲集の2巻目)を繰る。『ふりだした雪』は昭和11年の作で、『蛍』や『釣堀にて』と隣接しているわけで、この時期の万太郎戯曲の結晶度にはあらためて目を見張るものがある。『ふりだした雪』のヒロインはいかにも花柳だなと思う。実際の配役を調査したわけではないけど、いつもながらに脇にいる男たちの描写や登場人物の言葉の応酬にシビれる。この人物なんて、大矢市次郎ぴったり! などとシンシンと興奮。万太郎は冬ざれにチビチビやる熱燗のようだ。これからますます万太郎読みにぴったりの季節がやってくると思うと嬉しい。愉しき哉。