ベートーヴェンのピアノソナタ第24番

パチッと目が覚めると7時過ぎ。うっかり寝坊してしまったけど、よく寝たなアと充実感でいっぱいで気持ちよく起床。寝坊したため朝にするつもりだったいろいろなことをあきらめなくてはならず、そのおかげでかえって時間がたっぷりとなった。いよいよもうすぐ、サントリーホールでポゴレリチのピアノリサイタルが催される。ひさしく生で聴いてみたいピアニストの筆頭だったけど、前回来日時(1999年11月)は早々にチケットを押えていたにもかかわらず、いざ当日になってみると行くのを忘れてしまって気がついてみると演奏会は終了していたのだった。そんな大失態はあとにも先にも一度きりだ。うーむ、どうやら当時生活に疲れていたらしい。当時の自分が不憫でござる。そんなこんなで、今度は演奏会に行くのを忘れないように気をつけたい。演奏会の曲目にあがっているベ−ト−ヴェンのソナタを聴こうと、ひさびさにバックハウスの全集(9枚組ディスク)を取り出し、7枚目の24番から27番までが収録されているディスクを再生。op.78 のソナタが聴こえてきたところで急にジーンと感激。この音楽を聴いたのはたぶん数年ぶりだけど、わたしはこのソナタが大好きなのだった。すっかり忘れていたけれども、偏愛ソナタの筆頭だった。ポゴレリチの演奏でこの曲を聴けるなんて、なんと素晴らしいことだろう! と音楽にメロメロになっているうちに出かける時間が迫っていて、今日はコーヒーを飲む時間がなくなってしまった。

なんとか1日が無事に終わってなによりなによりと、疲れてしまったので喫茶店でひと休み。ディケンズの『ピクウィック・クラブ』を読み進め、区切りのよいところで、朝にさぼったもろもろのことを終わらせなければとえいっと帰宅することにする。めずらしく本屋さんに足を踏み入れないまま1日が終わった。

土曜日の夜の浅草木馬亭の加藤武の宮本武蔵を聴く会で、加藤武が戦前の菊五郎主演『勘平の死』を見たことをホクホクと語っていたのを思い出し、岡鬼太郎の劇評はどんな感じだったかしらと『歌舞伎眼鏡』を繰ってみたら、つい夢中。岡鬼太郎の劇評はいつ読んでも実に面白い。急に歌舞伎気分が盛り上がり、国立劇場の鶴屋南北『貞操花鳥羽恋塚』の復習(のようなもの)をすべく、いろいろとノートをとる。特に面白くはなかったのだけど妙に目が冴えて見ていた5時間だったので、舞台の記憶が鮮明でよかった。国立劇場の「通し狂言」はいつも関連資料をひもとく時間がなかなかオツで歌舞伎座ではなかなか味わえない国立劇場ならではのたのしみだなあ、とやっぱり見ておいてよかったと思った。

寝床では朝と同じくバックハウスのベートーヴェン。第24番のみならず、このディスクは4曲ともそれぞれに大好き。はじめの2曲はハイドンが亡くなった年に作曲されていて、くだんの南北の顔見世狂言と同年なのだった。それにしても、第24番のソナタ、ポゴレリチの手にかかるといったいどういうことになってしまうのだろう。