榮太樓總本鋪の黒飴を買う

朝、家を出ようとしたまさにそのときピンポーンと実家からの宅急便が届く。歌舞伎座と国立劇場のチケット関係の冊子が投げ込まれてあったのでとりあえず持参することにして、喫茶店でしばし眺める。来月は観劇の予定がたたなくて困ったなあと次第に眉間にシワが寄ってくる。歌舞伎座の『熊谷陣屋』と『浮かれ坊主』のみ必須であとは様子を見ることに落ち着き、「ああ、浮かれ坊主……」としばしぼんやり。おっといけない、来月の歌舞伎のことより今月の準備をと、筑摩書房の『明治史劇集』を開いて、巻末の戸板康二と秋庭太郎の解説をフムフムと熟読。文化六年の顔見世狂言のはずがいつのまにか心は明治大正の史劇の方に行ってしまっている。読み進めるうちに、前々から入手したいと思っていた、同じく明治文学全集の坪内逍遥の巻が急に欲しくなり、帰りに神保町に寄ろうかしらんなどと思っているのだった。んもう、油断するとすぐに本を欲しがってしまうなあと持参の歌舞伎ノートを開くと、6月の『盟三五大切』のところでとまっていた。あのときは南北も面白かったけど、あとに見た富十郎の『良寛と子守』のことがずっと離れなかった。戸板康二の劇評の六代目菊五郎の良寛のくだりをあとになって読み返したりした。

疲れたというか力が出ないので本日は早々に帰宅。先日月刊地域誌「日本橋」(http://www.nihombashi.co.jp/)を見て、榮太樓總本鋪(http://www.eitaro.com/)の「黒糖きなこ飴」が欲しいッと思ったことを急に思い出して、近所の食料品店で物色するも発見ならず。でも好物の「黒飴」はあった。嬉しい。意気揚々と購入。367円也。

帰宅後は時間がたっぷりで次第に心穏やかになってきた。料理の仕込み(というほどのものではない)に燃えたあとはいつまでも終わらない本棚のかたづけを少し進める。先月に五反田の古書展で買った本一式が出てきた。すっかり忘れていた。買いに行くことより先に自室を発掘するべきであった。武智鉄二の『「武智歌舞伎」』を読み始めると、さっそくとってもおもしろくてヒクヒク。ギャグとして読んでしまっている部分も少なくなくて思わず笑ってしまうところが何箇所も。「三馬鹿事件」のくだりで笑う。「吉右衛門小論」という一文に笑う。しかし笑うばかりではなく、武智鉄二を読むといつもつい熱くなってしまう。というか、スーッと凛とした気持ちになる。とりあえず、鴻池幸武の『道八芸談』を読まねばとメモ。寝床では同じく五反田での入手本、獅子文六『ちんちん電車』を繰る。週末に交通博物館に出かけた直後に繰ることになって気分上々、になりつつもしだいに瞼がトロトロ、続きは明日にしよう。