『折口信夫の世界 回想と写真紀行』に狂喜乱舞

7時起床。少し涼しくなるととたんに寝坊になる。といっても家事のあとも時間はたっぷりなので、音楽を聴いてぼんやりしようとディスク棚を探索、ふと気が向いてバッハのマタイ、レオンハルト盤をイヤホンで聴いた。いったん聴き始めると冒頭の合唱からして実にすばらしい演奏で急にシンシンと感激。1995年がマタイの聴き初めで、次にじっくりと聴いたのがバッハ没後250年の2000年だった。5年に一度はじっくりとマタイを聴きたいものだと当時思っていたけど、あれからちょうど5年、2005年も残り少ないことだし、秋はじっくりとマタイを聴こうと決意。

昼休みはアクアスキュータム本店でトレンチコートのオーダー。出来上がりは来月25日なり。

すっかり秋めいてきて気持ちのよい薄暮のなか、テクテクと家路を歩く。途中神保町を通りかかる。『続文楽の研究』はまだだったかしらと岩波ブックセンターに足を踏み入れた。岩波文庫の新刊はまだだったけど、気になる本をいくつか発見。窪田般弥の散文集『一切合財みな煙』という本にふらんす詩の翻訳者について書いてあって「おっ」となる。2002年刊行のこの本、今日初めて知った。買ってしまいそうになるところをぐっとこらえて「図書館、図書館」と念仏を唱える。あまり長居するとうっかり散財しそうなので外に出ることにして、日本特価書籍の前を通りかかった。

ここ数日、富岡多恵子の『漫才作者秋田實』を読みたいなと思っていたところだったので、平凡社ライブラリーの棚が目に入ってふと店内に足を踏み入れる。目当ての秋田實は棚にはなかったけど、並んでいる本にそそられるもの多々あり。未知谷から小沼丹の『黒と白の猫』が出ていたなんて! キーッ、いつの間に! と激しく動揺し、くるっと後ろを向いたそのとき、『折口信夫の世界 回想と写真紀行』という名の本がゾッキ本になって平積みになっているのを発見。定価9000円以上が1300円で売っている。うーむ、この本は前々からぜひとも手中におさめたいと思っていたのだった。芸能学会の機関誌「芸能」の記事をまとめたもので戸板康二も素敵な折口紀行を寄せていて、とにかくも「三田の折口信夫」の必須文献であった。3000円だったら函なしでも欲しいとかねがね思っていた。それが1300円! とかなんとか一転狂喜。ガバッと購入。日本特価書籍に足を踏み入れたのはずいぶんひさしぶりだったけど、今日みたいに思いっきり極私的な本がゾッキになっているのを発見となると、今後とも注意しておかねばと思う。それにしても『折口信夫の世界 回想と写真紀行』、定価では誰も買わなそうだけど、1300円でも誰も買わなそうだ。内容はとてもいいのだけど。機嫌よくズンズンと歩いていつもよりだいぶ早く帰宅。実家より宅急便届く。頼んでいたディスクが十数枚まぎれこんでいた。さっそくリヒテルのシューベルトを流した。