ちょっといい古本屋

戸板康二が、『国史大辞典』の「三木竹二」の項の執筆をしている、と、金子さん(id:kanetaku)に教えていただいて、大喜び。図に乗ってキーワードの説明文に書き写し。

最近たのしみにしているblog:森茉莉街道をゆく(http://blog.livedoor.jp/chiwami403/

東京の昔をたずねていたり、いろいろな本とつながったり、女子のよき生活の香気みたいなものがあったりと、ちわみさんの森茉莉探索のあとさきがとても素敵なのです。芝明舟町のくだりには戸板康二も登場して、前々からとても気になる「東京の昔」に思いを馳せてうっとり。串田孫一の『花火の見えた家』を読み返したり、それから、都筑道夫の『推理作家の出来るまで』にも明舟町が登場していたのを思い出した。

購入本

牛込界隈にちょっといい古本屋さんが移転したらしいと、ある人に教えていただいて、水曜日の日没後、さっそく市ヶ谷の麗文堂書店(http://www.reibun-do.com/)へ。2つのドアを開けて店内に足を踏み入れると、なにかの交響曲が聞こえてきて、ベートーヴェンの《田園》の第1楽章だった。余白の《エグモント序曲》が終わろうとする頃にお会計。ずいぶん長居をしてしまった。今回は1000円に満たないお買い物だったけれども、前々から欲しいと思っていたちょいと定価の高い本が半額以下で売っているのを見て嬉しかった。ほかにも迷ったものがいくつかあって、この先ちょいちょい足を運ぶことになりそう。また行きたいなという古本屋が新たに見つかるのはいつもとても嬉しい。

  • 芝木好子『湯葉・隅田川・丸の内八号館』(講談社文庫、昭和62年)
  • 芝木好子『築地川・葛飾の女』(講談社文庫、昭和62年)
  • 芝木好子『美の季節』(朝日文芸文庫、1994年)

芝木好子さんは去年に、講談社文芸文庫の『湯葉・青磁砧』を読んだのを機に、図書館で何冊も借りて読むこととなった。このところちょっとごぶさたしていたところで、やっと念願の本を買うことができた。今回買った講談社文庫はいずれもすでに読了済みの小説集で、いずれも東京小説としても著者の筆致という面でもなかなかよくて、心にツーンと突き刺さるというような激しさはないけれども、芝木好子さん独特の理知がとても好きなのだった。『湯葉』と『隅田川』と『丸の内八号館』はそれぞれ、祖母・母・著者自身をモデルにしている女性小説。『湯葉』は明治の神田を舞台にしていて、『隅田川』は大正の浅草、『丸の内八号館』は戦前の丸の内や御茶ノ水、湯島が舞台。湯葉商、呉服店を舞台にしていることであらわれる、湯葉、着物それぞれが醸し出す生活の美みたいなものもとてもよかった。初めて講談社文芸文庫を買ったのは、「湯葉」「青磁砧」という字面が好きだったのと解説が高橋英夫さんだったのと川島雄三の映画原作、大好きな『洲崎パラダイス』が収録されていたのをやっと発見したのとでの衝動買いだった。「湯葉」「青磁砧」という文字から直観的に感じた美しさをいざ小説を読むことで見事に味わうことができて嬉しかったのをよく覚えている。『青磁砧』は陶器を作る職人だけではなく、陶器に魅せられている、いわば享受者側にも力点が置かれている小説で、そこが面白くていろいろ共感もした。朝日文芸文庫が初めて読む随筆集、絵画に関することや国内外の紀行文等を収録している。今回買った文庫本3冊とも、いずれも小倉遊亀の絵が装画になっている。

  • 三國一朗『戦中用語集』(岩波新書、1985年)
  • 阿部昭『短編小説礼讃』(岩波新書、1986年)

このところ、古本屋でちょっといい新書を探すのがかなりのたのしみ。上限200円でこれからいろいろ仕入れようと思っているところ。